ハッピーモノグラムで社会福祉を始めたきっかけ
先日取材をうけた「どうして社会福祉なの?」のご質問にお答えしたいと思います。
今までお話したことのなかった大事なお話になります。
ハッピーモノグラムで社会福祉を始めたきっかけ・・・
お手玉やコンパクトミラーの製作を始めたきっかけは、ポーチ等を製作した際に出る大量のハギレでした。ダンボール何箱分にもなるそのハギレを有効利用できないかと思い考えたのが、障がいを持つ方々に、それを使って製作をお願いするということでした。なぜそういった考えに至ったのかというと、ハッピーモノグラムがこれまで製作していた商品に関係があるからです。
北海道に住んでいた頃にさかのぼるのですが、自分の子どもの名前を刺繍したグッズを探していた時に、海外在住の日本人の主婦が作っているワイプケース(お尻ふきを入れるケース)を知り、オーダーして購入しました。「モノグラム刺繍」と呼ばれるイニシャル刺繍やお名前刺繍は、それほど日本では浸透していませんでしたが、私のように名前入りのアイテムを欲しい人は日本にもいるのではないかと思い、そのうち自分も作りたくなったのです。その後、その方にダマスク柄(繋がったように繰り返す柄のこと)の生地の購入先などを聞いたのですが、結局、海外でしか販売していなかったため、同じ生地を使うのは諦め、自力で他の海外の生地を購入してワイプケースの製作を始めました。
そして、ハッピーモノグラムを立ち上げたのが2014年。当時は私1人で製作をして販売していたのですが、すぐに友人の紹介で3人の縫子さんが参加してくださることになり、その方たちの提案でポーチ等も作り始めました。始めはフェイスブックからオーダーを受けていましたが、立ち上げから1年後にオーダーシステムを導入したHPを制作し、本格的にサイトからオーダーを受けるようになりました。やがて3人の縫子さんだけでは製作もままならなくなり、他に製作してくれる方を探していた頃、近所にあるお店がオープンしたのです。その店先に飾ってある手作りのポーチ見て、そのままお店に飛び込み、「ハッピーモノグラムのポーチの製作をしてほしい」とお願いしました。その時は、「社会福祉事業所」という言葉の意味も、「就労支援」の意味も理解しておらず、とにかく製作を依頼したい一心でそのお店に飛び込みましたが、たまたま入ったそのお店こそ、就労支援を行なっている社会福祉事業所だったのです。それが福祉との最初の出会いであり、私が就労支援を始めたきっかけです。
ハッピーモノグラムの商品は、母子手帳ケース担当の方、がま口担当の方etc…、製作者がアイテムによって決まっており、注文を受け、私が名入れの刺繍をし、キットを製作者へ渡し、完成したら私の元に送られ、検品をして発送をするといった流れになっています。中でもシェルポーチとペンケースは、社会福祉事業所に通う障がいを持った方々に製作を依頼しており、来年(2019年)で5年のお付き合いになりますが、“障がいを持った方が製作した物”という宣伝はしていません。デザインの良さや機能性、競合他社との差別化によってハッピーモノグラムのオリジナル性を気に入ってくれた方がオーダーをしてくださるため、そこで「障がいを持った方が作った物です」と言って販売する方法は不自然だと感じたからです。そして、それこそがノーマライゼーションの考え方であると思っているからです(※ノーマライゼーションとは、障がいを持つ者と持たない者が同じように社会に受け入れられ、区別することなく平等に生活する社会を実現する考え方)。
私ももともとは就労支援について詳しくありませんでしたが、関わっていくごとに強く関心を持つようになり、自分でも色々と調べるようになりました。そこで最初に感じた驚きは、障がいを持つ方々が作った製品の安さでした。ハッピーモノグラムで販売している商品とは桁が1つ違うため、これでは正当なお給料は払えないだろうなと思いました。でも、得意なことを得意な人が担当し、それによって正当な対価を得て、製作費も正当な金額をお支払いするのは大事なことだと私は思うのです。
ハッピーモノグラムでは、ひとつひとつ丁寧に、綺麗に、毎回完璧な仕上がりを心掛けています。デザインや販売方法、見せ方等を考えれば、どんな方とも一緒に素敵な物を作り上げていけるということから、障がいを持つ方々が製作した物も、付加価値をつけた商品になるという確信が私にはありました。そこで、就労支援としてハギレを使ったアイテムを製作してもらいたいと考え、柿生学園さんに、お手玉やコンパクトミラーを作っていただくことにしたのです。どんな人にも個性があり、障がいも1つの個性だと私は思います。ポーチ1つ作れない私より、皆さん丁寧に製作してくださいます。素敵な物作りをしてお客様に喜んでいただきたい、ハッピーになっていただきたいという気持ちは一緒なのです。
このようなことをお伝えさせていただいたのは、今までハッピーモノグラムを支えて下さっていたお客様にも知っていただきたいと思ったからです。そして、今までシェルポーチやペンケースをご購入いただいたお客様には、意識しなくても自然にお買い物をしながら福祉を支える行動をしていただいていましたことをお伝えすると同時に、深くお礼申し上げます。どうもありがとうございます。今後とも引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。